前の記事はこちら☟
隠れ貧血って何!?～鉄剤と鉄分サプリメントの違い・選び方について～②
鉄剤、鉄分サプリメント服用の際の注意点
お茶やコーヒーとの飲み合わせについて
基本的には鉄剤服用前後30分はタンニン酸を含有する飲料(お茶やコーヒー)は飲まない方がよいとされています。
一般用医薬品の鉄剤には、注意として『本剤の服用前後30分は、お茶やコーヒー等は飲まないこと』と記載されています。
医療用医薬品の鉄剤では、試験管内などの実験ではお茶やコーヒーに含まれるタンニン酸と鉄が高分子鉄キレートを形成したとの報告から添付文書上、『併用注意』となっています。
しかし、実際の臨床上では貧血改善効果に影響はなかったと報告されているため、お茶やコーヒーとの飲み合わせの影響はほとんどないと思われる、ともされています。なのでそこまで神経質にはならなくてもよいという事ですね。
鉄分サプリメントに関してですが、ヘム鉄は鉄イオンがポルフィリン環に囲まれているため食物繊維やタンニンなどからの吸収阻害も受けにくいとされていますので、ヘム鉄のサプリメントを摂る際は気にしなくてもよいでしょう。
お茶やコーヒー以外に注意する飲み合わせとして、一部の抗生物質(キノロン系、テトラサイクリン系等)と一緒に鉄剤を服用することで両方の薬の吸収が阻害される場合があるため注意が必要です。併用する場合は鉄剤と抗生物質の服用間隔を3時間はあけるようにしましょう。
念のため、他の薬を飲むことになった場合は一緒に飲んでも大丈夫かなど医師や薬剤師に確認してください。
便の色が黒くなる
鉄剤を服用すると便の色が黒くなることがあります。これは吸収されなかった鉄剤によるもので、排泄される過程で鉄が酸化して黒くなるのです。なので特に問題はありません。
鉄剤で胃のむかつきや痛みがでることがある
胃のむかつきや痛みは特に『非ヘム鉄』により胃粘膜が刺激されることによるものです。
対処法としては、
●胃壁への刺激を減らすために鉄剤、サプリメントをなるべく食直後(食事終了15分以内)に服用する
●鉄剤、サプリメントの1日量を減らす
●胃では溶けずに腸で溶ける一般用医薬品の鉄剤に変更・胃壁を荒らしにくい『ヘム鉄』のサプリメントに変更する
などがあります。
今はセルフメディケーションの時代！
最後に・・・みなさんは『セルフメディケーション』という言葉はご存じでしょうか？
セルフメディケーションとは、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」と世界保健機関（WHO）は定義しています。
【セルフメディケーションの効果】
●毎日の健康管理の習慣が身につく
●医療や薬の知識が身につく
●疾患により、医療機関で受診する手間と時間が省かれる
●通院が減ることで、国民医療費の増加を防ぐ出典：第一三共ヘルスケア
今はインターネットで気になる症状などを調べれば情報(正しいかの真偽は自己判断ですが)を得られ、市販の医薬品やサプリメントも多く販売されています。
セルフメディケーションを行うことで病院に行くべきか否かなど自己判断する力も身に着けることができます。
今回の記事が皆さんのセルフメディケーションに少しでも役に立つと嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました
