検診の血液検査は正常だったけどなんだか調子が良くない・・・は隠れ貧血かも!?
最近だるくて頭痛や肩こりがある、気分が落ち込む、足がむずむずして眠れない・・・などなんだか体調がよくないけれど、定期健診では正常値なので問題ありませんと書いてある。。
こういった方、特に女性は多いのではないでしょうか。
もしかしたらあなたは隠れ貧血かもしれません!!
鉄不足は貧血のほかにも次のような様々な症状を惹き起こします。
① 骨・皮膚・粘膜の障害(あざ、コラーゲン低下による骨・肌異常、爪・毛髪・舌異常)
② 知能・情動への影響(不眠・集中力低下・学習障害・うつ・パニック障害)
③ ホルモンへの影響(甲状腺ホルモンの成熟障害、不妊症)
④ 白血球・免疫への影響(抵抗力の減少)
⑤ 消化系に及ぼす影響(嚥下障害、食欲不振、下痢、便秘、氷を好んで食べる)
⑥ いわゆる不定愁訴:頭痛、イライラ、耳鳴り、肩こり、寝坊癖、疲労、むずむず脚などこれらの症状が鉄不足からくることに気付いてない方が大勢いますので要注意です。
出典:新百合ヶ丘総合病院
隠れ貧血の事を正確には潜在的鉄欠乏状態(貯蔵鉄は減少しているがヘモグロビン値、血清鉄などの検査値はまだ基準値内の状態)といいます。
では説明していきましょう!
注目すべきなのは血清フェリチン値!
実際に定期健診で測定される貧血に関する項目は下記の4つくらいです。どれも基準値より低値だと貧血が疑われることになります。
①ヘモグロビン値(Hb)→血色素量。血色素は血液中で酸素の運搬をしているたんぱく質の一種。基準値は女性11.3~15.2g/dl 男性13.5~17.6g/dl
⇒低値になると酸素が全身に十分運ばれなくなるから全身が酸欠!⇒めまいが動悸が・・・といった貧血症状が出てくるわけです。
②赤血球数(RBC)→末梢血液1μL中に存在する赤血球の数を測定するもの。基準値は女性376~500 男性427~570 ×10^4/μL
⇒これは単純に基準値より低値だと赤血球が少ないという事になります。
③ヘマトクリット値(Ht)→赤血球容積を示し、赤血球の全容積が全血液中に占める割合(%)で表す。基準値は女性33.4~44.9% 男性39.8~51.8%
⇒これも基準値より低値だと赤血球が少ないですよって事ですね。
④血清鉄(Fe)→血液の液体成分である血清の中では鉄はトランスフェリンというタンパク質にくっついて運搬されます。これが血清鉄として測定されます。基準値は男性:50~200µg/dL 女性:40~180µg/dL
⇒血液中の鉄というイメージですね。低値だと鉄が少ないというわけですね。
これら4つが基準値内だったなら問題ないのでは?と思われがちですが、実は上記の検査項目以外にも注目すべきなのは血清フェリチン値です。
体内の鉄の約25%はフェリチンというたんぱく質にくっついて貯蔵鉄として肝臓や脾臓に蓄えられています。この貯蔵鉄を反映する値が血清フェリチン値です。
血清フェリチン値は通常の検査では測定されませんので、貯蔵鉄の不足は見落とされがちです。貯蔵鉄は予備としてあるものなので、多少減っても身体には貧血の症状として現れてきません。しかし、最近では貯蔵鉄が減ったことによる精神面への影響、不定愁訴やうつ傾向などの報告があります。
何らかの理由でヘモグロビンをつくる鉄が不足すると、まずこの貯蔵鉄が使われ始めます。それでも足りない時は血清鉄が使われるようになります。
鉄が不足すると貯蔵鉄は早い段階から利用されて減少しますが、血清鉄は貯蔵鉄からの補給により、比較的末期まで低下しません。
したがって、血清フェリチン値は早期に低下し、血清鉄値は末期まで低下しないことから、鉄欠乏状態を早期に診断するためには血清フェリチン測定は有用とされています。
定期健診で調べる検査値だけでは隠れ貧血=潜在的鉄欠乏状態は見抜けない!
という事がわかります。
※注意!!これは鉄欠乏性貧血の前段階である潜在的鉄欠乏状態について着目した記事となっています。検査値で異常がない方向けです。異常値がある、下血が続いている、、等気になる症状がある場合は医療機関へ受診、相談なさってください。
隠れ貧血疑いの人はまず、一般用医薬品の鉄剤か鉄分サプリメントを飲んでみよう!
では隠れ貧血(潜在的鉄欠乏状態)疑いである方はどうすればよいのでしょう。
フェリチン値を測定してください!と病院で調べてもらうまではちょっと・・・という場合に私がオススメしたいのは
まず一般用医薬品の鉄剤か市販の鉄分サプリメントを摂取してみるという事です。
一般用医薬品の鉄剤は鉄分サプリメントよりは効果は期待できますが、値段が高めです。効果があって品質も信頼できる方がよい、という方は一般用医薬品の鉄剤から始めてみるとよいでしょう。
あまりお金をかけずに症状を改善してみたい、という方は市販の鉄分サプリメントから始めてみるとよいでしょう。
また、気を付けなければいけないことは鉄剤の過剰な摂取です。
鉄が体内に溜まると細胞に沈着し、細胞がダメージを受けることで臓器障害が生じます。隠れ貧血かもしれない、という方であれば治療に使う高用量まで摂取する必要はないので1日の摂取量を守って服用しましょう。
ただし、しばらく服用しても頭痛、肩こり、疲労感などの症状が改善されないのであれば、貧血以外の原因とも考えられますので必要なタイミングで病院への受診などを考えてみましょう。
●あまりお金をかけずに症状を改善してみたい⇒鉄分サプリメント
次は具体的な鉄剤、鉄分サプリメントの違い・選び方についてご説明します。
次の記事はこちら☟
隠れ貧血って何!?~鉄剤と鉄分サプリメントの違い・選び方について~②